才塾 入試過去問2023年大問6

数学 入試過去問

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問題をクリックすると答えがでます。

【2023年の大問6】


 図は1辺が$6cm$の正四面体
 $BP:PC=2:1$
 $CQ:QD=2:1$
展開図

(1) $\triangle CPQ$はどんな三角形か。次のア~エから1つ選んで、その記号を答えよ。

 ア 正三角形   イ 二等辺三角形
 ウ 直角三角形  エ 直角二等辺三角形

答え

POINT

展開図  底面の$\triangle DBC$は正三角形です。3つの角はそれぞれ$60^{ \circ }$です。
 仮定から、$BP:PC=2:1,CQ:QD=2:1$で、1辺が$6cm$なのだから、$PC=2cm,QC=4cm$となって、 $PC:QC=2:4=1:2$です。
 $60^{ \circ }$の角をはさむ辺の比が$1:2$になる三角形なのですから、 これは辺の比が$1:2:\sqrt{3}$、角度の比は$60^{ \circ },30^{ \circ },90^{ \circ }$のの直角三角形です。 なので答えはウです。

 なぜ直角三角形といってよいのかを再確認しておきましょう。
展開図  まず、$BP$上に、$PE=2cm$となるように、点$E$をとります。すると$EC=4cm$になります。
 $CQ=4cm$なのだから、$\triangle QEC$は、$CE=CQ$で、$\angle ECQ=60^{ \circ }$の二等辺三角形になります。
 頂角が$60^{ \circ }$の二等辺三角形なのだから、これは正三角形です。なので、$QE=4cm$です。
 この正三角形の底辺を$EC$とします。
 すると、$QP$は頂点$Q$から底辺の中点におろした線ということになります。
 $\triangle QEP$と$\triangle QCP$は、3辺が等しいので 合同となって、対応する角だから$\angle QPE = \angle QPC$、というわけで$\angle QPE = \angle QPC=90^{ \circ }$です。

(2) $AQ$の長さ

答え
$$2\sqrt{7}cm$$

POINT

展開図  $Q$は$CD$上にあるので、$AQ$の長さは$\triangle ACD$で考えます。
 これは1辺が$6cm$の正三角形で、仮定から$CQ:QD=2:1$なので、$CQ=4cm,QD=2cm$です。
 また、$\angle A$の二等分線をひいて$CD$との交点を$M$とすると、「二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分する」という定理をもちいて、 $MD=3cm,\angle AMD=90^{ \circ }$です。
 また、$\angle ADM=60^{ \circ },\angle MAD=30^{ \circ }$なので、 $\triangle AMD$の辺の比は$1:2:\sqrt{3}$になります。なので、 \begin{eqnarray*} AD:AM&=&2:\sqrt{3}\\ 6:AM&=&2:\sqrt{3}\\ AM&=&3\sqrt{3}cm \end{eqnarray*}  あと、$MQ=MD-QD=3-2=1cm$です。
展開図  これで、$\triangle AMQ$で三平方の定理を使えば、$AQ$が求められます。
 $\triangle AMQ$で、$AM=3\sqrt{3},$$MQ=1,$$\angle AMQ=90^{ \circ }$
三平方の定理により、 \begin{eqnarray*} (AQ)^2&=&(AM)^2+(MQ)^2\\ &=&(3\sqrt{3})^2+1^2\\ &=&28\\ AQ>0なので\\ AQ&=&\sqrt{28}=2\sqrt{7}cm \end{eqnarray*}

(3) 直線$AP$を軸として$\triangle APQ$を一回転させてできる立体の体積
 ただし円周率を$\pi$とする

答え
$$\cfrac{50\sqrt{7}}{7}\pi (cm^3)$$

POINT

展開図  まず、$\triangle APQ$はどんな三角形なのか、その3辺の長さを考えましょう。

 $AQ$の長さは(2)で求めています。$2\sqrt{7}cm$です。

展開図  $AP$の長さはどうかというと、$\triangle ACD$の$AQ$と、 $\triangle ABC$の$AP$はおなじことなので、$AP$もやっぱり$2\sqrt{7}cm$です。(図2)

 あと$PQ$なのですが、これは(1)の問題で考えた、$\triangle DBC$の中の$\triangle QPC$をおもいだして(図3)、 これは辺の比が$1:2:\sqrt{3}$になる三角形だったので、 展開図 \begin{eqnarray*} PC:PQ&=&1:\sqrt{3}\\ 2:PQ&=&1:\sqrt{3}\\ PQ&=&2\sqrt{3}cm \end{eqnarray*} というわけで、$\triangle APQ$は$AP=AQ=2\sqrt{7}cm,PQ=2\sqrt{3}cm$の二等辺三角形です。(図4)

展開図  これの$AP$を軸として一回転せよということなので、$AP$をまっすぐにたてて図をかくとこうなって(図5)、 これを$AP$を軸にして一回転させると、こんなふうになります。(図6)

展開図  図6はふたつの円すいを、底面をあわせて上下に重ねたものです。これの体積を求めなさいという問題なので、上の円すいと下の円すいの 体積をそれぞれ求めて、足せばよさそうです。そういうことでやっていきましょう。

【上の円すいの体積】
 円すいの体積は、底面積$\times$高さ$\times \cfrac{1}{3}$です。
 底面は円なので、その面積は半径の$2$乗$\times\pi$です。
展開図 $Q$から$AP$に垂線をおろして、$AP$との交点を$R$ということにします。(図7)
 すると、$QR$が、この円すいの底面の円の半径ということになります。また、$AR$が上の円すいの高さということになります。 そして$PR$が下の円すいの高さということになります。

【底面の半径】
 $QR$(底面の半径)は、$\triangle APQ$の面積を利用して求めることができます。$\triangle APQ$は、3辺がわかっている二等辺三角形なので、 三平方の定理を使えば高さがだせて、面積がでます。
展開図  $\triangle APQ$の$\angle A$の二等分線と$PQ$の交点を$S$とします。(図8)
 二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分するので、$PS=\sqrt{3}cm,$$\angle ASP=90^{ \circ }$になります。あと、$AP=2\sqrt{7}cm$なので、$\triangle APS$において、三平方の定理より、 \begin{eqnarray*} (AS)^2&=&(AP)^2-(PS)^2\\ &=&(2\sqrt{7})^2-\sqrt{3}^2\\ &=&28-3\\ &=&25\\ AS>0なので\\ AS&=&\sqrt{25}=5cm \end{eqnarray*}  三角形の面積は底辺$\times$高さ$\times\cfrac{1}{2}$です。なので、$\triangle APQ$の面積は、 $$2\sqrt{3}\times5\times\cfrac{1}{2}=5\sqrt{3}cm^2$$ 展開図  そしてこんどは、$\triangle APQ$で、$AP$を底辺とした式をたてます。$AP$を底辺ということにすれば、高さは$QR$です。(図9)
 この三角形で面積をあらわす式をたてると、 \begin{eqnarray*} 底辺\times高さ\times\cfrac{1}{2}&=&面積\\ AP\times QR \times\cfrac{1}{2}&=&面積\\ 2\sqrt{7}\times QR \times\cfrac{1}{2}&=&5\sqrt{3}\quad(両辺に\times2)\\ 2\sqrt{7}\times QR &=&10\sqrt{3}\\ QR&=&\cfrac{10\sqrt{3}}{2\sqrt{7}}=\cfrac{5\sqrt{3}}{\sqrt{7}}cm\\ \end{eqnarray*} 展開図  あとで2乗するので、分母の有理化はしません。

【底面の面積】
 というわけで、これで上の円すいの底面の半径がでました。なので上の円すいの底面積は、
$\pi\times(QR)^2=\cfrac{75}{7}\pi$となります。とうぜん下の円すいの底面積もおなじです。

【立体の体積】
 ところで、この問題できかれている立体の体積は、上の円すいと下の円すいの体積を求めて足せばOKなのですが、 上下にわけてそれぞれを求めていくより、もうすこしラクにやることができます。
展開図  図11のように、$AP=l,\quad $$AR=h_{ 1 },\quad $$RP=h_{ 2 },\quad $$QR=r\quad $ということにします。
 すると、$h_{ 1 }+h_{ 2 }=l$です。
 上の円すいの体積は、 $\cfrac{1}{3}\pi r^2 h_{ 1 }$です。
 下の円すいの体積は、 $\cfrac{1}{3}\pi r^2 h_{ 2 }$です。
 上の円すいの体積と下の円すいの体積を足したものは、 \begin{eqnarray*} &&\cfrac{1}{3}\pi r^2 h_{ 1 }+\cfrac{1}{3}\pi r^2 h_{ 2 }\\ &=&\cfrac{1}{3}\pi r^2( h_{ 1}+ h_{ 2 })\\ &=&\cfrac{1}{3}\pi r^2 l \end{eqnarray*} 展開図  したがって、この問題できかれている立体の体積は、$\cfrac{1}{3}\times$底面積$\times AP$をやればOKということになって(図12)、
\begin{eqnarray*} &&\cfrac{1}{3}\times底面積\times AP\\ &=&\cfrac{1}{3}\times\cfrac{75}{7}\pi\times2\sqrt{7}\\ &=&\cfrac{50\sqrt{7}}{7}\pi (cm^3)\quad(答え) \end{eqnarray*}

【$QR$のべつな求め方】
 この問題の解説は以上なのですが、$QR$のべつな求め方もすこし説明します。ちょっと計算が面倒なので、上で説明したやりかたのほうがとくだとは思うのですが、まあいちおう。
展開図  $\triangle APQ$で、$AP=AQ=2\sqrt{7},$$PQ=2\sqrt{3}$です。(図13)
 3辺の長さがわかっている三角形なので、三平方の定理を使って、点$Q$から$AP$におろした垂線$QR$の長さを求めていきましょう。
 そのためにまず、$AR$の長さを求めていきます。
 $AR=x$として、$x$を使った三平方の定理の式を2つたてて、連立させて解いていきます。 図3
【$AR$の長さ】
 $\triangle ARQ$は$\angle ARQ=90^{ \circ }$の直角三角形だから(図14)、$AR$の長さを$x$とすると、三平方の定理より、 \begin{eqnarray*} (QR)^2&=&(AQ)^2-(AR)^2\\ &=&(2\sqrt{7})^2-x^2\\ &=&28-x^2 \end{eqnarray*}  また、$AR$の長さを$x$とすると、$RP=2\sqrt{7}-x$とあらわせます。 図3
 $\triangle PRQ$は$\angle PRQ=90^{ \circ }$の直角三角形だから(図15)、三平方の定理より、 \begin{eqnarray*} (QR)^2&=&(QP)^2-(RP)^2\\ &=&(2\sqrt{3})^2-(2\sqrt{7}-x)^2\\ &=&12-(28-4\sqrt{7}x+x^2)\\ &=&12-28+4\sqrt{7}x-x^2\\ &=&-16+4\sqrt{7}x-x^2 \end{eqnarray*}  これで$(QR)^2$を2通りの表し方で表せました。並べて書くと、 \begin{eqnarray*} \left\{ \begin{array}{l} (QR)^2=28-x^2\qquad…①\\ (QR)^2=-16+4\sqrt{7}x-x^2\qquad…② \end{array} \right.\\ \end{eqnarray*}  こんなふうになります。①と②の式について、代入法で、右辺$=$右辺の式をたてて$x$を求めていきます。 \begin{eqnarray*} 28-x^2&=&-16+4\sqrt{7}x-x^2\\ -x^2+x^2-4\sqrt{7}x&=&-16-28\\ -4\sqrt{7}x&=&-44\\ x&=&\cfrac{44}{4\sqrt{7}}=\cfrac{11}{\sqrt{7}}\\ \end{eqnarray*}  あとで2乗するので分母の有理化はしません。
図3
 これで$x$が求まりました。$x$というのは、$AR$のことです。

【$QR$の長さ】
 いま求めた$x$を利用して、$\triangle ARQ$で、三平方の定理より(図16)、 \begin{eqnarray*} (QR)^2&=&(AQ)^2-(AR)^2\\ &=&(2\sqrt{7})^2-\left(\cfrac{11}{\sqrt{7}}\right)^2\\ &=&28-\cfrac{121}{7}\\ &=&\cfrac{196}{7}-\cfrac{121}{7}\\ &=&\cfrac{75}{7} \end{eqnarray*} 展開図  これに平方根をつければ$QR$になるのですが、考えてみるとほしいのは$(QR)^2$の値なので、じゃあこのままでだいじょうぶです。
 図7の$(QR)^2=\cfrac{75}{7}$ということです。
 なので上の円すいの底面積は、
$\pi\times(QR)^2=\cfrac{75}{7}\pi$となります。とうぜん下の円すいの底面積もおなじです。

 ……というわけで、こんなふうにやっても$QR$は求められて、円すいの底面積がでます。でますが、ちょっとめんどくさいかも。

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